真っ直ぐに見つめてくるその瞳に……
囚われる。
まるで、走馬灯のように……
佳明と過ごしてきた日々が……
脳裏に浮かんでいた。
『…そろそろ楽になろう。俺となら…、意地張る必要もない。』
『ねえ、それってさ…、同情?』
『……。もちろん、愛情。』
『…楽に……させて?』
『…もちろん。』
君との恋は。
傷ついた私の心に、じんわりと幸せを分けてくれるような……
あたたかい恋だった。
マウンドで、悔しがるあの姿も……
公園で、はにかむ笑顔も……
全て。
忘れることはできないくらいに、今でもハッキリと思い出せるのに…。
はじめから、
その終着地が見えていたかのように………
心のどこかで、
逃げていた。
そうならないようにと、逃げ続けていた。
本気で好きになったこと。
それは嘘なんかじゃない。
それでも………
どこかに居続けた……アイツの存在。
『楽になんかさせないよ』
……なんて、そう言われているみたいに……
無意識に、視界に入りこんできていた。
忘れさせてくれなかった。
……忘れられなかった。


