「……ありがとうございました!」



写真館に来た客が一旦途絶えて……



私はようやく、ひと息ついた。





「…………。」



気づけば…、あれから結構時間が経っている。




結と中道は……、今頃、どうしているだろうか。



結はちゃんと……


楽しめているのかな。






「……お疲れさん。」



能戸くんが、私にペットボトルのジュースを差し出してきた。



「……ちょっと休憩しよう。」



「うん。ありがとう。」








能戸くんは……少しだけ、笑った。



「さっきから時計ばっか気にしてる。そんなに気になる?あの二人。」



「いや、そんなんじゃないよ。ただ……、戻って来なくて良かったって。」



「…何で?」




「折角の学園祭、楽しんでもらわなきゃ困る。」



「まあねー。そうだろうけど……アンタお人よしだよなあ、自分がかなり損してると思わないの?」



「……そういう能戸くんもさ、何度も廊下見に行ってる。誰か…待ってるんじゃないの?」



「………。」



「………。やっぱり。もしかして、結とか…?」



「……。あのさあ、何でアンタは他人のことになるとこうもスルドイのかなあ…。」



「……だってさ。双子の見分けはつくし、咄嗟に私の味方をしてくれたでしょう?あやしいとは思ったんだよね。ほとんど面識ないのに。」



「…なーんだ、バレバレじゃん?…本当はさ、面と向かって結の味方になってやりたいけど…、角が立つと悪いからな。中道が原因ならなおのこと…、俺はいっつも影でコソコソしてた。」



「…………。」



「第一、結にはあいつしか見えてなかったからな。」



「…だからさっきも…?」



「…そ。俺がどうにかするより、中道が行動に移ってくれた方が……結は喜ぶだろうし。」




「……そっか…。」



「…一定の距離を保つのは意外と簡単なんだよな……。でも、そうこうしている間に中道はスッと相手の懐にはいっちゃう。いいよなあ、ホント。まあ、今回も見事このパターンにハマった訳だ。」



「……そっか…。ねえ、あのさ……。もし第三者がいなくて、私と結の二人が並んでいたら…。能戸くんは、どっちが結かわかる?」