「…じゃあね、中道くん。」



「…ああ。」



「ありがとう、今まで。」


「こっちの方が…ありがとうだよ。結と出会えて……良かった。」






結は……



今まで見せたことがないような、最高な笑顔で……


笑った。







小さくなっていく背中を……



いつまでも、いつまでも…



消えて見えなくなるまで……






見送った。






あいつは……


きっともう大丈夫。



心配なんていらない。…と、いうより……



心配なんて、もうされたくないだろう。









「……中道……。」



里中の声で、ハッと我にかえる。




「往生際悪すぎだろ。」



「……放っておけ。」



「そう簡単にハイそうですか…なんてやらないよ?」



「…余計な心配いらねーよ。自分の力で…奪うから。」



「「…………」」






勝負は……これから。






「…今日くらいは、お前も投げろよ。」




「俺はピッチャーじゃない。」




「これはゲームだ。6割ほどの投げ込みでいい。もしかして……、怖いのか?」



「……怖くなんか…ねーよ。」






里中から……、ボールを受け取る。







まだまだ、
勝負はこれから。




恋愛も、


野球も………。












そう……、



ゲームセットの音が……





聞こえるまでは。