「好きです。」
私は……
初めて自分から……
男の人に、告白をした。
あの泣いた日から数日後………
相手は……
中道くん。
もうずっと前から……
出会った時から予感していたこの気持ち。
ありったけの想いをこめて。
彼のその優しさが……
もし、私に向けられたのならば。
他には何もいらないと……
そう、思ってしまった。
彼は思いの他、驚いた顔をした。
「……なんで…、俺なの?」
「……理由なんてない。……中道くんだから。」
中道くんは。
ちょっとだけ下を向いて……、
それから、
まっすぐに私を見た。
「……そっか……。」
すぐに返事をしなかったのも。
考える素振りをしたのも。
これもまた、彼の優しさだったのだろうか……。
次の言葉までの、数秒間が………
とてつもなく、長く感じた。
告白をすることが、こんなに勇気のいるものだと知らなかった。
もっと簡単なのかと思った。
だから……
彼が口を開き掛けたその瞬間……
私は、
怖くなった。
「俺……」
「……あのッ!!」
聞きたく……
なかったのかもしれない。
絶対の自信。
それすらも……
敵わない、と。
なのに…『負け』を認めたくはなかった。
「返事は…今じゃなくてもいい。」
そう言ったのに。
中道くんが放った最後の3文字。
それだけで…。
全てを理解した。


