As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

「ああ、中道は知らないか。この子、柚の双子の妹。結ってゆーの。」



「双子?!」



必要以上に驚いたその顔が……


さっきの意地悪な顔とは違って、妙に子供っぽくて……かわいかった。




「柚なら今職員室。なんか用だった?」



「ううん。用ってほどではないから……。」



しどろもどろになる私を……


なおも、その人……


中道侑が、じっと見ていた。




「すげーそっくり。でも……、どーりでいつもより女らしいと思った。」



そう言って笑った顔が……



私の胸をギュッと締め付けた。





この人が……、


中道…侑。





「じゃあ…、私はこれで。」




初めての会話は…



たった、これっきりだった。







……それから……。




中道くんは、私とすれ違う度に……



声を掛けてきた。



それも、だいたいは一言ふた言。



「よぉ。」

「…あ…、ども。」





「何、次体育?」

「…う、うん。」




「…一瞬上原かと思った!」

「…ソレ、よく言われる。」



「帰ったらあいつに言っといて。『早くCD返せ』って。」

「わかった。」







どんな顔して話せばいいのかがわからなくて……



それ以上の言葉が出なかったんだ。



だって、



彼氏じゃなくて、


クラスメイトじゃない男の人。



しかも柚の友達で……



私とは、ただの顔見知り。






今までなかった関係。




私達の繋がりは……




柚がいなければ、まるでなんにもない。






ただ……、



ひとつだけ、気になっていた。



二人が噂になる……、



その訳が。