As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

クラスが一緒になることはもちろんなかったけど、
毎朝同じ制服に身を包む柚がいると思うだけで…


さほど、落ち込むことはなかった。



入学早々…、
中学時代とは比べものにならないほど、部活に忙しい柚とは…


少しずつ、一緒にいる時間が減っていった。



おまけに……



ちゃっかりと言うか、やっぱりと言うべきか……



学級委員になっていることも、何とも彼女らしい。




退屈な毎日。


でも、友達もできて……



平穏な日々。



私はすぐに彼氏ができたけれど……



アッサリ別れるなど、相変わらずだった。









そんな時に……






私は、意外なウワサを耳にした。




それは……、


柚と『中道侑』が付き合ってるっていう噂。




寝耳に水とはまさにそのこと。




柚の口から…
そんな話は、一度だって聞いたことがないからだ。




一方の『中道侑』の噂は…


耳にタコができるほど。




クラスの大半の女子が、カッコイイと騒いでいたから……

名前だけは、知っていた。




そんなモテ男が……


柚と?




心配が半分、興味本意が半分。




その男を確認しに……




私は、柚の教室へと向かう。





用はないけれど、忘れ物を口実にしようと意気込んで……



彼女のクラスを覗きこむ。




……が。



柚の姿はなかった。




………と、


背後から。



バシッと頭を叩かれて……


「…キャッ!」



私は……そちらに振り返る。





「……。『きゃっ』って、ナニかわいこぶってんの。入口に立ってたら邪魔だろーよ。」




「……は……?」




いきなりお前呼ばわりした失礼なヤツの顔を拝もうと……


ふと、見上げる。




「……………。」



綺麗な目。


スッと整った鼻。



そこにいた、その人は…



「上原……?」



不思議そうに、私を見つめていた。




「あれ?…結、何してんの?」



私に気づいた律のその声で…


私は、我に返る。




「……『結』?」



目の前の彼は、何やら考えこんでいた。