「…本当はさ、あんたも結も気づいてるんじゃねーの?……中道が、本当は誰を好きなのか。」



「……そんなの……知らない。」



「………あ、そう。まあ、中道に…結のことを話してたのは俺だった。だからこそ……少しくらいはあいつの気持ち、理解はできる。それでも…、限度はあるんだな。」


「…………。」



「……俺は…、そろそろ、ヤツの肩の荷を下ろしてやりたい。結はアンタに気づかれないようにってやってきたんだろうけど…、キツかったんじゃねーか?一番頼りたいヤツがライバルになっちゃうし…。それでも…、結局アンタは今こーしてここにいる。どうにかしてくれんじゃねーかって、正直思ってしまう。」



「…………。」



「……人の恋愛に、口出しは無用か。余計なこと言ったかもしれないけど…、結にも、中道にとっても、里中にとっても……アンタがキーマンになってる気がする。」



「……そんなこと……」



「俺は中道とは古い付き合いだ。アンタよりは……わかってるつもり。あいつはあの時……俺にハッキリ言った。その言葉に嘘はないって…思ってる。」



「…………。」




「…あいつは、嘘はつかない。」





嘘は……


つかない。



「もし、ついたとするなら……相手を思いやってのこと。だから……、嘘は、ないんだ。」











嘘はない。







ならば……、



何が真実だったんだろう。





確かに結は中道と付き合い、



なのに私はヤツとキスまでしていて……




『好きだった』と…


そう、言われたこともある。






結と中道が付き合ったきっかけは……?




……わからない。



結は中道に一度振られていた……?




そんなの、知らない。





「…………。」




結……、


中道……。



私は……


あまりにも二人のことを…





知らな過ぎたのかな。






「…あ、カップルご来店。」



「……!いらっしゃいませ!」



作り笑いで自分を繕う私は……


卑怯なのかな。




ただ、人の気持ちから逃げてばかりいたんじゃないのかな。




もしも………。



結が今目の前に現れたとしたならば……



彼女の想いを、
受け止めきることが……





できるのだろうか。