「それは……、ごめんね。」
「いやいや。いっぱいいっぱいなのはわかってたから、陰からこうしてじーっと見守ってたよ。」
「怖いなあ、ソレ。」
「あはは、うそうそ。けど、この二日は黙っちゃいらんない訳だよ。一緒にいるチャンスだし?」
「………うん。」
「やだな、今の間。」
「えっ…。」
「…まあ、学園祭はまだ始まってないし…、空いてる時間は一緒に居よう。」
「うん。」
「…じゃ…、ピアノ、緊張したら俺の方見ろよ?面白い顔して笑わせてやるから。」
「…ん、期待してる。」
「じゃあ」と言って去りゆく佳明と入れ替わるかのように…
中道がこちらに向かって歩いてきた。
「………。」
私はただただ二人の様子を見守る。
中道が、ちらりと目線を佳明に向ける。
………と、
佳明は奴の肩にポンッと手を置いた。
「まあお前も頑張れや、指揮。顔、こえーぞ。」
「馬鹿やろ、緊張なんてしてねーよっ。」
………あ。
中道…顔真っ赤。
ホント、そういうとこ…
バカ正直。
バッチリ私と目が合った中道は、きまりが悪そうに視線をそらす。
「……里中!…悪いけど…、」
奴は私の目の前で急に足を止め、佳明の方にくるりと振り返る。
、、、
「俺たちコンビで、どっちも賞狙ってるから!」
……は?!
いやいやいや、私、そんなことはひと言も……。
「面白いね、ソレ。もしかして宣戦布告?」
「おーよ。おめーらには絶対負けない。…と、思う。」
おいおい、中道~?
「バーーカっ。」
佳明はニヤっと笑って……
そのまま廊下の先へと歩いて行った。
「よっしゃ、スッキリした。」
一方の中道は…
「それくらい宣言しておけば、ハードルが上がって更に士気が高くなるだろ。」
そう言い放つと、私にはてんでお構いなしで…、教室へと入っていく。
「…ハードル高すぎだっちゅうの。」
奴のすることは……
いつも訳がわからなくて、唐突だけど……
納得させられる。
そのぐらいの心もちで……
今日は頑張ろう。


