「おはよ~っ!」
教室じゃない「教室」。
そこに…ありったけの声で…
挨拶しながら入る。
「おはよー。」
「!…おはよう!」
普通に挨拶を返されたのが、殊の外、嬉しい。
ここのところずっと、この瞬間が……一番緊張する。
人を様子を伺う癖が…抜けない。
時折、無視されることだってある。
原因……?
そんなのわかりきっている。
それでも……
気持ちだけは負けないように、
いつも通りに振る舞う他なかった。
「昨日倒れたって?大丈夫だった?」
そんな言葉をかけられたり……
どうやら、いつもとは違う。
学園祭という大きなイベント。
そして……
クラスの団結が問われる合唱コンクール。
だからこそ……
一時的に、優しくされるのかな……。
せっかくの爽やかな朝を、卑屈に過ごしていてはもったいない。
もしかしたらこれがクラスの子たちと打ち解けるきっかけになるかもしれない。
今日明日と……
精一杯頑張らなくちゃ!
…そう、気負っていると……
スカートのポケットの中で、携帯が震え始めた。
佳明からのメール。
『いよいよだね。頑張れよ(^_^)v』
……珍しく、顔文字付き。
『ありがとう。緊張するからあまりみないでね。』
…送信!
再び……
携帯が鳴る。
『じゃあじっくり見ときます』
「…………。」
私が文字を打っていると……
「柚、彼氏が廊下でお呼びだよ。」
…律の声。
思わず廊下の方を向くと…
「……うそ…。」
確かに、じーっとこちらを見る人物が1名。
廊下に出た私に、
「ホントに緊張してるし!」
佳明が笑い飛ばす。
「まさかホントに見てるなんて……」
恥ずかしすぎる。
「…だって寂しかったし?」
「……え?」
「ここんとこ、柚忙しくてこんな風に会えてなかったし、連絡すらくれないんだもん。」


