人を待つのって……
こんなにドキドキして、
そわそわして、
心が震え出すような……
そんな、気持ちになるんだっけ……。
中道を待つ間……
なかなかやって来ないことに、やきもきする自分がいた。
一回。
たった一度だけの二人の時間。
もう二度と。
こんなことはないのだと思う。
「……切り上げられなかったのかな……。」
ちらりと携帯を確認する。
既に…
20分程経っていた。
「……待ってても…仕方ないか。」
私に代わって、クラスのことをしてくれたのは…
あいつだった。
邪魔はできない。
する権利もない。
私は携帯をスカートのポケットに詰め込んで…
ピアノに向き合う。
鍵盤に手を置き……
出だしの音を確認する。
重たい鍵盤。
学園祭をきっかけに、久しぶりに触ったピアノ。
もちろん指は思うように動かなくて、
楽譜を読むのもままならなくて、
何度も何度も間違いを繰り返し…
ここまでやってきた。
私ひとりの力じゃない。
一度も弱音を吐いたつもりはない。
それでもいつも隣りにいてくれたのは……
結だった。
気づくといつもすぐ側で。
幼い頃に教え合っていた時のように……
寄り添ってくれた。
母はそんな私たちに何を言うでもなく……
いつの間にか、長らく調律していなかったその音色が……
綺麗な旋律を奏でるようになっていた。
私が弾けるのは、2曲。
もちろん、自分のクラスの曲と……
結が一生懸命歌う、結のクラスの曲。
こうして一人で鍵盤に向かうのは……
心寂しい気がする。


