As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

「…まだ取れない?」


「うん。」


「ちょっと見せて。」



私は目元を擦る三井くんの手を掴んで…



ようやく、その瞳を捕らえた。


右目が真っ赤になっている。



「…ちょっとごめんね。」


涙袋を指で下方に動かす。


………三井くんて…、睫毛長っ。



「…あった!」


眼球に張り付く睫毛をようやく発見。



「…ここ。」


手を添えて、三井くんの手を操作する。




……と、





「……上原っ!!」


「………?!」



背後から響く怒鳴り声。




私はつい、振り返る。



窓の外。



私を見上げていたのは……




中道。




「…………っ、紙皿…、買ってきた!」



「………は?!」



知ってますが……?!




「つーか、何してんの、お前ら。」



「…………!」






何って……



「…………。」



掴んだままの三井くんの腕。



「…えっ…、あのっ…違っ……」



動揺……


隠せず。




「邪魔しないでよ、中道。」



煽る三井くん。


イヤイヤ、おかしいでしょ、それっ。



「そりゃあイチャつくのは勝手だけど…、もう少し、周りの目ェ気にしろよ、バーカ。」



「………えっ。」



よく見ると……



教室にいるクラスメイトたちが、ちらちらとこっちを見ていた。


もちろん、外にいる人達からも見える位置。


確かに……


誤解を招くようなシチュエーションだ。




中道はぷいっと前を向き直し……


そのまま、昇降口へむかって歩き出した。



「…………。感情丸出し。」


隣りで三井くんが噴き出す。


「……ねえ、どうしてあんなこと言ったの?邪魔しないでとか…。」


「ん。だってホントのことだし。」