As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

「…だから…、重要なポジションなワケ、ピアノは。」



「………。」



「…みんなが任せるって言うんだから、頑張れや。」



「……………。」



中道……?



「……で、実行委員さん、提案していい?」




奴は席を立つと……


真っすぐに前を見据えた。


その目線は私ではない。



私のすぐ隣りにいる……


三井くんに向けられている。




「……すげー盛り上がった所でさ、優勝目指すなら、それなりにトップに立つ奴の力量が試される訳だ。」




「…………。」



三井くんは、黙って頷く。



「…上原がピアノで周り引っ張るのは…ちょっと役不足だろ?」


さり気にキツいひと言をどうも……。


「…で、三井は実行委員を主に頑張ってもらうとして……、合唱は、俺に任せてくれない?」



……は……?





「…指揮者賞、狙っていくから。あわよくば、伴奏者賞も。」




………ま、マジ…?


中道が……指揮者?!



「実行委員じゃないからそんなに時間とらないだろうし、部活にも差し障りないと思う。それに……、やるならとことんってゆーのは、そいつの意に沿う。」



『そいつ』って指差したその先は………


紛れもなく、私であった。




「…で、どうっスかね。」


真剣な瞳が緩んで…
おちゃらけるようにして、三井くんに問いた。



「……中道くんに一任していいでしょうか?」



クラスメイトから拍手が起こり…


満足げな中道。


一方で呆気にとられる私は……


ただただ、呆然と立ち尽くした。




もう、二度と関わることなんてないと思っていたのに。



奴の視線が私を捕らえた瞬間に……


思考が停止。



一体これから……


どうなるの?!