丸井くんは、ホッとした表情を浮かべて、さっさと自分の席へと戻っていった。
……ずるい。
私は丸井くんの背中を、キッと睨んでやった。
「…なんか…、ごめんね。無理矢理決めたみたくなっちゃって。」
代わりに隣に並んだ三井くんが……
私にボソリと呟いた。
「…ホントにね。」
うわっ…、
ついつい本音が。
あーあ、いい具合に嫌な女…。
「…でも、上原さんなら最後までちゃんとやり通す。嫌だからって手を抜いたりしない。」
「………!」
「…だから、一緒にやりたかったんだ。」
「…………。」
………。
そりゃあ、なったからにはちゃんとやりますとも。
でも……
「きっと、楽しいよ。……ねっ?」
「……う、うん。」
眼鏡の奥が、あまりにも優しく私を見るから……
何も言い返せなくなった。
「…早速ですが…、色々決めていきたいと思います。」
手元のレジュメに沿って、三井くんがテキパキと進行を進めていく。
「………。」
……丸井くんより、断然上手い。
へぇ……、
やるじゃん。
次々と決まる役割分担。
2日目には、学園祭定番のカフェを開くことが決まり……、
残りの議事は、あとひとつ。
その間、私はひと言も発することなく…
ひらすら、黒板に文字を書き綴った。
「…あとは…、合唱コンクールだけど……。」
三井くんの言葉に、女子一同が一斉に下を向いた。
「……ピアノ、弾ける人いませんか?」
しん…と…、静まる教室。
「…あ。もちろん男子でもいいけど。」
女子のただならぬ殺気を感じたのか……
三井くんは、言葉を続けた。