みんなは大袈裟なくらいに拍手喝采。




三井くんはちょっと照れながら…席に座ったままお辞儀をした。





「…じゃあ、あとは女子だけど……立候補はいないので、誰か推薦してください。」




……………。




…………………。





「ハイ。俺から推薦、いいですかぁ?」



手を挙げたのは……三井くん。




「…上原さんがいいと思います。学級委員でそういうの慣れてるし、機転が利くし……。」




「………え………。」



ええ~ッ!!?

嘘でしょ?

なぜに私ーっ?!



バッチリ目が合った三井君がにこやかに笑う。

なんて爽やかな……

…じゃない、

なんて余計なことを……!



「わ…、私、陸上部の方もあるし……。」


必死の言い訳を考える。



「…でも陸上って個人技じゃん?誰に迷惑かかるわけじゃないし。」


「………!」



女子の冷ややかなひと言。


「…けど……」



「それに、他のクラスではほとんど学級委員がなったらしいし。誰もしたい人いないし、いいじゃん。引き受けなよ、学級委員~。」


容赦ない追い撃ち。


「…でも……」



ヤバい、
言い逃れる言葉が…浮かばない。



「…そういんじゃなくて!」



ガタンと…
椅子を倒して、三井くんが立ち上がる。


「……!?」


…なに…?



「俺はホントに適任だと思ったから、推薦しただけ。適当に決めようとか、そういうんじゃないから。」



………。


三井くん。





三井くんは、ちょっと苛立ちを見せ付けるようにして…

倒れた椅子を元に戻し、ドカっと腰掛けた。



そんな三井くんの行動に目が離せない私。



不意に……


その隣りに座る、中道の姿が……


視界の端に入ってきた。




いつもなら、こんな時にさりげなく助け舟を出すのは中道だけど……、



あはは、目ぇすら合わないや。


……


当たり前か。





ひとり二人と手を叩き始め……


クラスメイトは皆賛同した。



「じゃあ…、女子は上原さんで決定ってことで。」



自分がならなかったのをいいことに、丸井くんはサラサラと悪びれなく黒板に私の名を刻む。




…実行委員だなんて…。
ただでさえ陸上の遅れを取り戻したいのに。



「…じゃあここからは、三井くんにバトンタッチしま~す。」