「…俺だって辛い時くらいある。プレッシャーに押し潰されそうで、グローブ見るのも嫌になるくらい。なのに……どうしてお前は、あいつばっか見るんだ?多少のブランクがあるんだ、そりゃあ人一倍の努力もいる。けど…、お前が見守る必要なんてない。それは……結ちゃんがすべき事だろ。」



「………!」




佳明は……



何を知っているの?




「夏休みがあけるまでに……答えをだしてよ。」




「…………。」



「…俺を選んで。」




「……佳明……、私……」






答えなんて出てるのに。



私は今…


佳明と付き合っているんだよ?



なのに……



「…じゃあ……、また、学校で。」




「……………。」




答えられなかった。



佳明の想いが……


本気の想いが……



伝わってきた。






私は自分の部屋に辿り着くと……


電気もつけぬまま、ベッドの上へと倒れこんだ。






「…馬鹿じゃん…、私。」



妹の彼氏。
クラスメイト。


私と中道を結びつけるものは、それ以外にない。



縁を切る……?



どうやって……?



おかしな話でしょう、そんなの。



あいつにとってはそんなの痛くも痒くもない。



わざわざそうさせようとする意は……



ライバルに対する、
ヤキモチ…?



中道が後を追い掛ける。
その確実にせまりくる足音を……


きっと彼は背後に感じているのだろう。




その矛先を…
どうして私に向けるの?




私と中道の、薄っぺらい繋がりすらも…


許されないものなのだろうか。






「………。」