「…おう、行ってらっしゃい。……。あ~あ、マジで時間ほしい~ッ!」



柄にもなく叫ぶから…



「じゃあ…、夕方っ。デートしよ。」



「……。マジで!」



「…部活終わったら電話するから!」



「ぃよっしゃ~!!」



私はますます言えなくなった。




大丈夫だよね、




大丈夫……。




私は、ちゃんと佳明が好きだから………。











「…お疲れ様でした~!」



先輩達が帰るのを見送り……



それから私は、そそくさと帰り支度を始める。




「……ゆ~う、なんなの~、ここんとこ妙に張り切ってんじゃん。」



紗枝がにんまりしながら、わざとらしく体当たりしてきた。



「…やっぱ足の調子いいしさ、俄然やる気が起きるよね。」


「あらあ…?それだけ~?」


「……。なにさ~。」


「なにかいい事でもあったんじゃないの?」


「…なにそれ?」


「…例えば…、里中くんと……。」



「………。いつも通りだけど。」



「そう?だいぶ浮かれてる感あるよ。」



「え~?」



浮かれてる?!



「…なんかいいコトあったんだろうなあってみんなで話してたトコ。」


「【みんな】?」


「うん。知ってるんだからネ、部活前のデート。」



「…げ。」



「白昼堂々としながら何よ、【げっ】って。色気づいてきたかと思えばコレだ~。」


「…色気!?」


…どこが!


「いいよなあ…、イケメン彼氏!」



「………あ。」



そうだよ、今日……


この後会うんだった!



「紗枝ちん、制汗スプレー持ってる?!」


「…あるけど…。」


「…貸して!」


「…そりゃあいいけどさ…、身だしなみだろ~?スポーツ女子の常識っ。」


「…………。」



「……。この様子じゃあまだまだだね。アンタらどこまでいってるの?」


「……。え?公園?」


「誰もデートの場所など聞いとらんわ。……ねえ、キスくらいはしたでしょ~?」


「……はあ?何、突然!」


「だってまさかあの里中くんがまだ手ェ出してないなんてないっしょ?」



「………。」



「…何故黙る。」



「…あ、うん…いや。」