As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

選手達の健闘を讃え、スタンドからは温かい拍手が贈られる。



佳明は帽子をとって挨拶した後……、



また目深に被って、その目をごしごしと擦った。




「…夢じゃないかもね、甲子園。」


結がポツリと呟く。



一点差…、
たった一点での敗北だった。



「…そうかもね。」



佳明が言っていた。



アイツが…このチームに加わったその時に……



また、この舞台に戻って来れるかもしれない。




根拠はないけど、そう思ってやまなかった。






帰りのバスの中……、



まだどこか夢見心地の私は、そっと目をつむり……



夢の続きを見ようとした。



甲子園のグラウンド、

笑う中道と佳明。






彼らの約束が叶うその瞬間を……



見ていた。