As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

じわじわと気温が上がり…、更にスタンドの熱気がよりそれを感じさせた。


学校側から冷えたスポーツドリンクを支給され、私はすぐさまゴクゴクと音を立てて飲んだ。



「やっぱスポーツにはコレだよね。」


「…あんたは応援してるだけでしょう?」


「いやいや、一緒に戦ってるつもりですから。」



そんなやりとりをしながら、ふと、スタンドの一番上で旗を振る応援団の一員に目を向けると……


「応援団の学ランて絶対暑いよね。」


そう呟きながら…


応援席を見渡した。




「………。一般の応援も結構来てるんだなぁ。」



………!








……目を疑った。



生徒達から離れた場所……、



一番上の一番端に…








アイツがいた。




こんなに大勢の中から、アイツ…、中道を見つけられるなんて…。


私、どうかしてる?





しかもアイツ、私服じゃん…。







奴は私の視線になんか、気づく訳もなく……。



ただじっと一点を見つめているようだった。


そう、それは多分……



佳明の姿。



「…馬鹿なやつ…。」


堂々と来れば良かったのに。


意地っ張りで頑固者……。



だけど……



やっぱり野球が好きなんだね。


テレビ中継だってされてるのに結局来ちゃうんだから……。





「…柚、7回始まってるよ?」


「…えっ、…うん!」



一瞬…
結の声にドキッとしたけれど、彼女は私の視線の先にはさほど興味はもたず…


むしろ、マウンドから目が離せないようだった。



一方の私は気になって仕方がない。


あいつがどんな思いで、どんな風にこの試合をみているのかが…


気になって気になってどうしようもなかった。