As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

全国高等学校野球選手権大会…


県大会、決勝戦……。



我が校は、ついにそこまでコマを進めていた。



夏休みに入ってはいるが、学校の全生徒が…バスに乗って、応援に出掛ける。





「お。双子が揃ってる。」



先に学校で待っていた律がもの珍しそうに出迎えた。



「……。アンタら髪型違うからいいけどさ…、同じカッコされたら全くわからんわ。あ、あえて言うなら美白が結か。」



「……。うるさ~い。」


そりゃあ私は黒いからね。



「結、幸子ちゃんもう来てるよ。」



「…ああ、今日はいいの。柚とりっちゃんと応援するから。」



「……。…ふーん。あっそう。」


律はちらっと私の顔を見た。



やっぱり?
違和感あるよね。



私は黙ったまま、ひとつ頷いた。








ふと気になって……



集う生徒達をジロジロと眺める。



けれどやっぱり……、


あいつはいなかった。





高校野球の観戦は、これが初めてだった。


もちろん甲子園のファンでもある私は、部活さえなければいつもテレビの中の高校球児を応援していた。


県大会とはいえ、その感動の瞬間を生で見れることもあり、更に佳明がマウンドに立つことを考えるだけで……


興奮は、増すばかりである。









球場に到着し、スタンドに向かう時には……



身震いするほどであった。





縦のストライプの入ったユニフォーム。



彼等の姿が目に入ったその瞬間……。



なんとも言えない緊張感が伝わってきた。




「…頑張れ。」


願うように絞り出した声に…、律と結が私の両側から肘で突いてきた。



「…行けるといいね、甲子園……。」



結が小さく呟く。



なんて切ない顔してるの。


横目で結の顔を見ながら…、私はちょっぴり冷静になった。