からっぽなこの心を…これから何が癒してくれる?
私の中からあいつを消さなければならないのなら……
その分は誰が満たしてくれるの?
帰ってきた玄関先で…
私はまた、あの花を見つめる。
『トルコ桔梗』…。
調べた花言葉。
「優美」「希望」「よい語らい」「清々しい美しさ」……。
そのどれもが……、
今の私には似つかわしくなかった。
羨ましくてならない、そんな言葉ばかり。
なのに……、
不思議だね。
ちっとも君を嫌いになれない。
「…柚。」
部屋をノックされるのとほぼ同時に……
結がドアの内側へと入ってきた。
「……なに…。」
私は顔を向けぬまま…
無愛想に答える。
「…中道くんと喧嘩したって?」
「………。」
…もう知ってるのか。
そりゃああれだけ派手にやれば…
嫌でも耳に届くだろう。
いや…、あいつが言った?
「別に…。いつもの小競り合いだよ。」
「…そうかな。大嫌いになっちゃう程の喧嘩って何…?本当は大好きなくせに。」
「………好きなんかじゃ…!」
思わず振り返った私に……
結の突き刺すような視線が重なる。
「…律から聞いた。変な噂になって耳に入るよりよっぽどいいからって。だけど…律がこんな気を遣うこと自体がおかしいと思った。柚…、中道くんと…何かあったんじゃないの?」
「…………。」
脳裏に……
あのキスシーンが甦る。
「…図星だね。言い返せないってことは…そういうことだ。」
「…やだな、変な誤解してない?」


