As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

「…そう?間もなくだと思うけど……。」


「…イエ、ホントに。もう帰りますので…。」



「…そう?」



「…あの!」



「…はい?」



「このコの名前、何て言うんですか。」



「このコは、『ロドリゲス』。侑が名前付けたんだよ。」



そういって…


おそらく中道のおばあちゃんと思われるその人は、顔をくしゃくしゃにさせて嬉しそうに笑った。



…似てる…。


目元が、中道と…。



「…ロドリゲス…。強そうな名前。」


つられて私もクスリと笑った。



ロドリゲスか……。


あ。もしかして……。



「…アレックス ロドリゲス………。」



「…え?」



おばあちゃんが、ロドリゲスを撫でるその手をとめた。



「…よくわかったね?」



「…ええ、なんとなく。」



「野球…、好きなの?」



「ハイ、多分中道…、いえ、侑くんに負けないくらい好きです。」



「………。変わったコだねぇ。」



「…あはは、そうかもしれません。」



「…侑のガールフレンドかな?」



「……!いえいえ!私は違います!」



顔が一気に熱くなる。



慌てて私は下を向いて、それを隠した。



「なんだ。違うの。あの子は昔から野球ばっかりだったしね、女の子なんて連れてきたこともないからてっきり……。」



「…女の子…、来たことないんですか?」



「私に遠慮してるのかもしれないね。それとも野球ばかりで女の子に好意を持たれることがないのかな。」



「…いや、侑くんは…モテますよ。羨ましいくらい。」


「…あはは、そうかい。年頃だからねぇ、良かったよ。彼女のひとりいなきゃあ男がすたる。」



……彼女…、か。



「…アンタみたいに元気なコだったら安心なんだけどねえ。」



「………!」



「…アララ。真っ赤な顔しちゃって!冗談だよ、冗談!あのコも隅に置けないね。」




おばあちゃんはカラカラと笑う。



「…アンタ、時間はないの?」



「…えっ。」



「お茶でも一服してごやい?ホラ、ロドリゲスも気に入ったみたいだし。」



私はロドリゲスに目を移した。


つぶらな瞳が真っ直ぐに私を見ている。



そっと手を伸ばし……



彼の身体を撫でる。



気持ち良さそうに目を細めるロドリゲス。



「侑が帰るまで退屈なんだよ。」