As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

彼がユニホームの袖で汗を拭うその姿を目に焼き付けて…、



…学校を後にした。






辺りはまだ明るくて……



風がほのかに夏の匂いを運んできていた。




「♪♪~♪……」





鼻唄を歌いながら……



私はひとり、道を歩いてゆく。




「♪~♪……。」




不意に…


ピタリと足を止める。




小学校のグランドにチラリと目をやって…


誰もいないことを確認する。




「………おかしいよ、やっぱ。」



目に焼き付けたはずの佳明の姿がうっすらとぼやけていく。



代わりに……



何故だろう。



このグランドで真剣に子供に向き合うアイツ、中道の姿が……



鮮明に映し出される。





この道を一緒に帰ったこともあったっけ……。




あの時は……



ああ、そうだ。



あいつが言ったんだ。




『つーか、今帰りなら途中まで一緒に帰るか?』



『受けてたとうじゃない。』




今にして思えば、なんて色気のない…。




あの時舗道に並んだ二人の影……。





もう、戻れないのかな。


あの時みたいに罵り合うことも、



小突き合うことも……


できないのかな。




頭の中は、アイツのことでいっぱいで……


許されないことなのに、どこかで許されたい。



戻りたい……、あの頃に……。



何てことをしてしまったのだろう。



友達の境界線を……

その狭間を……


越えてしまった。





今はただ……



影すらできないこの明るい空の下を、太陽が照らすこの道の先を……



歩く他ない。



なにが嘘で、なにが本当かなんて……


私は知らない。