As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

中道、



中道……。




私の中に、あんたがいた痕跡を…


残さないで。



…掻き乱さないでよ。



アンタのことを知りたくて…



避けられなかった。




私は……




裏切ったんだ…。



二つの大切な存在を……。




アンタはその共犯者。



あってはならない、



秘密の……



共犯者。






私に触れた大きな手で……



アンタはきっと結にも触れる。



ねえ、



アンタは一体…



何を考えてるの?








私はスカートのポケットにキーホルダーを押し込めると……


教室のドアに手をかけた。




「………。」



閉まるドアの隙間から……



そっと見守る。




いつもここから見える、アイツの笑顔を……

胸に閉じ込めながら。







「やば…、部活遅れる。」



ふと、我に返る。




廊下を小走りで抜けて……


角を曲がる。




階段へと差し掛かかろうとしたその時……、



ビクッと半ば反射的に身体が動いた。




「…やっぱ一緒に行こうと思って待ってたんだけど…、遅かったな。」



「………。」



佳明が……



そこにいた。




「…ごめん。」



予想だにしていなかった。


だから…


うまい言い訳も見つからない。


そもそも「言い訳」をしなくちゃいけない状況にあることがおかしいというのに…。




「…いいから、早く行こ。」



佳明は手を伸ばす。


詮索も、何もしてはこない。



私に…


この手を掴む権利がある…?



恐らく数秒間…、

けれど私にしたらえらく長い時間戸惑っていたようにも思える。



しばらくの沈黙後…


佳明は、黙ったまま私の手を掴んだ。