「悪かったね。でも私はすんごい気に入ってるからさ。放っておいてくんない?」
「………。」
「……そうだな、妙に似合ってるもんなあ…。」
「……『妙に』って…。」
中道は手を伸ばすと……
その手を、私の頭に置いた。
「柚。」
「……え。」
まただ……。
また、名前で……。
「…俺……」
うなじに大きな手が触れる。
「…中道……?」
まさかのまさかだった……。
それはホントに一瞬で……
何が起こったのか、理解すらできなかった。
残された私は……
ただ呆然と、立ち尽くす。
何かの間違い?
事故……?
でもあいつは……
確かに私の名前を呼んだ。
わたしのファーストキスは、恋人と……。
そして二度目のキスは……
妹の恋人と……。
どうして私は……
避けなかったのだろう。


