As Time Goes By ~僕等のかえりみち~

次の日の学校で…




皆が驚いたのは無理もない。




なぜなら…



私はうっとおしかったその髪の毛を、今度は結えないくらいにバッサリと切ってしまったのだから……。




クラスメイトは失恋だと思いこみ、変に気を遣っていた。



…が、



いつものように爽やかに登場した佳明に……



誤解はすぐに解かれた。




「柚らしいじゃん。」



佳明はサラリと彼らしい台詞を持って私を受け入れた。



それが……妙に嬉しかった。







放課後になり、私は佳明と一緒に部活へと向かった。



…が、



「…やば…、数学のガイド、置いてきちゃった。」



「マジで?大丈夫?」



「…う~ん。今から取りに戻るよ。明日あたるかもしれないし。」



「…おっ、偉い偉い。待ってようか?」



「いい!先行ってて?部活遅れるわけにはいかないでしょう?」



「…ん。わかった。じゃあまた後で。」



佳明と別れ……




私はバタバタと教室への道のりを戻っていった。






教室には……




誰もいなかった。




「えっと…、数Ⅰのガイド…っと。」



机の中を漁るが…



出てこない。



「あ。やだ。」



ペンケースまで忘れてた。



私はそれを取り出し……



「………。」



ある物をじっと見つめた。






中道にもらった、キーホルダー。



「………。」



いつまでも…


こんな目立つ物につけていちゃダメだよね。





ペンケースからそれを外して、目の高さに持つ。




「…最初で最後のプレゼント…か。」




ふうっと息を吐いて、手の平の中におさめる。



「…そうだ、ガイド…ガイドっと。」



今度はロッカーを開いてそれを探す。