ロイドが声をかけると、ローザンは席を立ってこちらへやって来た。


「あぁ、ユイさんなら部屋に戻りましたよ。出血は酷かったんですが、打撲とすり傷だけだったので、自分で歩いて帰りました」

「そうか」


 ロイドはホッと息をつく。
 するとローザンが、おもしろそうにクスクス笑った。


「ちょっと苛ついてて、八つ当たりしちゃったそうですよ」
「何の話だ?」


 ロイドが訝しげに尋ねると、ローザンは益々笑う。


「ユイさんに怒られたんでしょ? それで機嫌が悪かったんじゃないですか? 八つ当たりって事は、ロイドさんが原因じゃないって事です。気にしなくていいですよ」

「別に気にしてない」