「そんなにイヤなのか」


 ロイドがポツリとつぶやくと、ユイは不思議そうな顔をして見上げた。
 目が合った途端、いたたまれなくなりロイドは顔を背けた。


「いや、いい」


 ユイは再び俯く。

 ユイの態度が好転したと、浮かれていた自分が滑稽でならない。
 実際には、こうして必要に駆られて触れただけで、ユイは拒絶反応を示している。

 これだけ徹底的に嫌われていては、キスどころか抱きしめる事も許してはくれないだろう。

 そして、今朝気付いたユイへの想いも、決して報われる事はない。

 しばらく黙って歩いていると、ユイが俯いたまま口を開いた。


「ロイド、助けに来てくれて、ありがとう」
「あぁ」


 返事をしたものの、ユイの礼の言葉は、後ろからついてくる小鳥に向けられたものかもしれない、と思ってしまう。

 そんな猜疑心にとらわれてしまうほど、更に強くなっているユイへの想いに、ロイドは改めて気付かされた。