「人は早かれ遅かれ、みんな死ぬんだ。オレもそのうちな。オレが死ぬ前に復讐しに来い」


 ロイドはランシュの頭を、クシャクシャと撫でる。

 ジャケットの裾をギュッと掴んだまま、ランシュは声を殺して泣き続けた。



 ランシュが泣き疲れて眠るのを見届けて、ロイドは病院を後にした。

 外に出ると雨が上がり、うっすらと西日が差していた。
 夕焼け空に大きな虹が架かっている。

 ランシュの泣き顔が、転送間際のユイの顔を思い出させた。

 涙に濡れた瞳が、切なげに揺れていた。

 時空移動装置はもうすぐ完成する。
 もうすぐユイに会える。

 ロイドは空を見上げて、少し微笑んだ。