ロイドが穏便に収めようとしているのに、ユイはまだ興奮したまま、今度はロイドに抗議する。


「何言ってんのよ! どう考えたって、悪いのはこの子じゃない。あなただって……」

「いいから、おまえは黙ってろ!」


 怒鳴りながらロイドは、ユイの両肩を掴んで強く揺すった。
 その迫力に気圧されて、さすがにユイも押し黙る。

 少しの間、部屋が静まりかえった。

 ロイドは少しホッとして振り返り、改めて殿下に頭を下げた。


「本当に申し訳ありません、殿下」


 すると殿下はクスクス笑いながら、ロイドの肩を軽く叩いた。


「いいよ、ロイド。顔を上げて。ロイドを罰したりはしないよ。もちろん、ユイもね。だって、ユイの言う通り、悪いのは僕だもの。心配かけて、ごめんね」