ロイドは白衣を脱いでソファの背もたれに引っかけると、床に散らばった部品類を避けながら、リビングから出て行った。

 ユイがどんな酒を好むのかわからない。
 甘いお菓子が好きだから、甘い果実酒にしてみた。

 自分の分と共にそれを持ってリビングに戻ると、テーブルの上を片付けたユイがソファに座って待っていた。

 果実酒の入ったグラスを彼女に差し出し、隣に腰掛ける。
 ユイはグラスの中を覗き、酒を口に含んだ。


「あ、これ、おいしい」


 そう言ってユイは、立て続けにもう一口飲んだ。
 どうやら甘い酒は気に入ったらしい。

 だが、ジュースのような感覚で飲んでもらっては厄介なので、忠告する。


「アルコール度数は結構あるぞ。一気に飲むなよ」