意外な言葉に、ロイドは少し目を見開いて、ユイに視線を向けた。
 ユイはイタズラっぽい笑みを浮かべ、ロイドを上目遣いに見つめて言う。


「私がニッポンに帰らないって、駄々捏ねたら困るから、あんな事言ったんでしょ?」
「そんな風に考えていたのか」


 確かにユイがニッポンに帰らないと、言いだしたら困る。
 それはロイドにとっては、渡りに船だからだ。
 自分がユイを連れ去る口実を、与えてもらっては困るのだ。

 自分の意見が否定されたと思ったのか、ユイが恐る恐る尋ねてきた。


「……違うの?」


 ロイドは目を逸らすと、俯いてひとつ息をついた。


「いや、それもある」
「他にもあるの?」