ロイドはユイがニッポンに帰ってから二ヶ月、ずっと休みなく夜中まで働いていた。
 今日一日ぐらいぼんやり過ごしてもかまわないだろう。

 そう考えて、仕事をする事を諦め、ロイドは椅子の背にもたれ、再びぼんやり窓の外を眺めた。

 すると、机の上の電話が静かな研究室に、呼び出し音を鳴り響かせた。
 液晶画面に表示された相手先を見て、ロイドは思わず眉を寄せる。

 相手先は、科学技術局局長室だ。
 相手は容易に想像がつく。

 渋々応答ボタンを押すと、画面には科学技術局副局長フェティ=クリネの顔が映し出された。

 フェティはロイドの顔を見るなり、不愉快そうに眉をひそめる。


「私の顔を見るなり、嫌そうな顔をしないで下さい」


 それはお互い様だろう、などと言おうものなら、三倍返しに合いそうなので黙っておく。