ユイは再びうろたえて、逃れようと腕を突っ張る。


「そういう前金なら、充分に支払ってるでしょう?」


 抵抗するユイを少し強引に引き寄せ、ロイドは真顔で問いかけた。


「イヤなのか?」


 ユイが照れているだけだという事は分かっている。
 本気で拒めない事を知りながら、意地悪な質問だ。

 ユイは抵抗を止め、照れくさそうに目を逸らした。


「……訊かないでよ」


 俯いたあごを指先で掴み上向かせると、ユイは少しロイドを見つめた後、観念したように目を閉じた。

 慈しむように、優しく静かに口づける。