耳元でつぶやくと、ユイはクスリと笑った。
 そしてロイドの背中に腕を回し、抱きしめ返した。


「つらいの?」


 いたわるような優しい抱擁と静かな問いかけに、ロイドは腕をほどき、ユイの両肩に手を置いて、その身体をゆっくりと突き放した。
 このまま縋ってしまうわけにはいかない。


「……大丈夫だ」


 自分に暗示をかけて、少し笑顔を作ってみせる。
 そしてユイの頭をひと撫でし、背を向けた。


「もう少し高速化のロジックを考えてみる。おまえはもう寝ろ」


 自室に向かって歩き始めると、少ししてユイが名を呼んだ。