そんな経緯があるので、メモリの保護対策については万全なのだ。
 人がたたき落としたくらいでは、完全に破壊する事は出来ない。

 めくった表皮を元に戻して、腹にある電源を入れてみる。
 小鳥は目を開き、ロイドを見つめて首を傾げた。

 新しいボディは充電が必要だ。
 ロイドは小鳥を手の中に握ったまま、再び中空を見つめてぼんやりした。
 頭は再び、ユイの行く末を思う。

 どうすればユイを守る事が出来るだろう。

 百五十秒以内に、殿下を見つける事が出来れば問題ない。
 だが殿下を見つけられなかった時、どうすればいい?

 いっそのこと、全てを放り出して、ユイを連れて逃げようか。

 そうすればロイドは、ユイ以外の全てを失う。
 信頼も、職も、居場所も、生活の糧も。
 識別カードから足が付くので、買い物すら出来ない。
 そんな自分に、ユイを守れるとは思えない。

 時間が足りない。
 自分の身体が、眠らなくても食べなくても、動けるのならいいのに。