ユイを見送り、ロイドは首を傾げながらローザンに尋ねた。


「なんか、あいつ変じゃないか?」
「そうですか?」


 ローザンは意味ありげにクスクス笑いながら、とぼけている。
 この表情は、絶対何かを知っているはずだ。

 だがローザンは滅茶苦茶、口が堅い。
 言わないと約束した事や、自分がそう決めた事は、絶対に言わない。
 訊いたところで、教えてはくれないだろう。

 ロイドは問い質す事を諦めて、ローザンの側に歩み寄った。

 ローザンは席を立って、一枚の紙をロイドに渡した。


「さっき頼まれた事の結果です。今日はこれで帰ってもいいですか?」


 時計を見ると十七時を過ぎていた。