装置の中に戻ってみると、女は未だ呆然とした様子で座り込んでいた。
 ロイドの姿をぼんやり見つめ、抑揚のない声で問いかける。


「私、ニッポンに帰れるの?」


 ロイドはありのままを女に伝える。


「現時点では、何とも言えない」
「やけに冷静なのね。この国ではよくある事なの?」

「過去に何度かあったらしい。それにオレの研究課題のひとつでもあるしな。おまえにはしばらくの間協力してもらう」


 そう前置きしてロイドは、ラクロット氏に話したように、正規版の装置を使わなければ、とにかく時間がかかる事を女にも告げた。


「そこでだ。殿下が見つかるまでの間、瓜二つのおまえに身代わりを演じてもらいたい」