それはユイ自身の演技力よりも、容姿がよほど殿下に酷似しているためだと、彼女は思ったらしい。

 そしてロイドがユイを抱きしめたりキスをしたりするのは、殿下が好きだからではないかと考えたようだ。

 それを確かめるために、一計を案じたらしい。

 話を聞いてロイドは、思い切り呆れてユイを見つめた。


「どこから、そういう発想が湧いて出るんだ」
「だって……」
「だってじゃない! オレは男を好きになった事は一度もない。思い切り女好きだ」


 ロイドが男の尻を触っているのを目撃したとかいうなら分かるが、実際にそういう事実はないし、普通なら男が男を好きだとは思わないだろう。

 相変わらず、突飛な事を考える奴だ。

 大きくため息をつくユイの額を叩いて、ロイドは続けて言う。


「第一、オレはおまえを殿下だと思った事もない。たとえ百万人の殿下のクローンの中に、おまえが紛れ込んでいても、オレは見分ける自信がある」