ユイの機嫌はすでに直っているようだ。
 少しホッとしつつ、彼女の側に小鳥がいない事に気付いた。
 途端にロイドは不愉快な事を思い出した。

 自室前に置かれた机の上の灰皿に、タバコをもみ消しユイを手招いた。


「あ、そうだ。おまえ、ちょっと来い」


 キョトンとした表情で、側まで来たユイの額を強めに叩く。


「誰が、エロ学者だ。変な言葉を教えるな」


 ユイは額を押さえながら、目を見開いた。


「あの子、しゃべったの?!」
「エロ学者って、呼ばれたぞ」
「ずるい! 私はしゃべったの聞いた事ないのに!」


 どうやらユイは、小鳥がしゃべるようになった事を、知らなかったようだ。