一服して心を落ち着かせてから、ユイに話しに行こう。
 部屋の隅でタバコに火を付け、ロイドはテラスに出た。

 手すりにもたれ、上向いて煙を吐き出す。
 見上げる空は、今夜もよく晴れている。

 ゆうべユイが、しきりに星空を眺めていた事を思い出した。
 ニッポンでは星空は見えないのだろうか。

 二口目を吸い込んだ時、隣の部屋のガラス戸が開く音がした。
 ユイがテラスに出てきたようだ。

 ロイドの存在に気付くと、ユイはこちらに向かって近付いて来た。

 まさかそんなわけはないだろうが、ユイがまだ怒っているのか確かめたくて、軽く冗談を言ってみる。


「何だ? オレの部屋に忍んで来るつもりだったのか?」


 ユイは軽く受け流した。


「違うわよ。あなた、タバコ吸うの?」
「たまにな」