「あたしだって別れたくないよ! 信じたくても肝心な時計はないし、斗真の気持ちだって本心は分からないよ」



あたしにだけ向けられていた気持ちが他の人に一瞬でも向けられたら


些細な言動で、疑心暗鬼になってしまう。好きな人を疑って、「好き」という言葉を信じられない毎日を繰り返すなんて辛すぎる。



泣き出したあたしを強く抱き締める斗真のシャツからは、あの香水の香りがした。



……ほらね、大好きな人の腕の中なのに


この香水はあたし以外の女を意識してつけたものだと思うと一気に胸が痛みだす。



もう……無理だ。