勤務中にきた電話もメールも無視した。いつもは必ず声をかけて帰るけど、さっさと荷物をまとめてオフィスを後にした。
「メイコ! 待てよ。何を怒ってるの?」
追いかけてきた斗真に腕を掴まれて、おもいっきり振り払った。
「あたしが怒ってる理由も分からないの?」
「……真柴さん?」
分かってるなら聞くなよ。
「お疲れ様です」
……タイミングが悪い。オフィスから出てきた真柴さんが笑顔であたし達に声をかけてきた。
「お疲れ様。気をつけてね。また明日」
「はい、お先に失礼します」
ふふふ、ははは〜と、お花畑にいるような二人のやりとりにヘドが出る。