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「それって音無さんじゃない?」

「音無さん?」

聞き返す私に、香奈が分かりやすく鼻を鳴らした。人に自慢したい時の彼女の癖だ。

「夢に出てくる足音よ」

「足音に名前がついてんの?」

意地の悪い気持ちになってそんな事を言うと、香奈が鼻じろんだ。

「有名なんだからね」

「ふーん」

さして興味も沸かず、生返事を返すとドンッと両手で机を叩かれる音がした。一瞬何が起こったのか分からず、ポカーンと音のした方向を確かめると、委員長が青白い顔で此方を見つめている。

「委員長?」

「………面白半分なら関わるな」