しかしそんな心配は無用だった。


この学校の生徒たちはどの子も友好的で、いじめとは無縁のようだった。


わたしはほっとした。


そしてこの高校を選んでよかったと思った。


担任の男の先生も優しそうな先生だった。


満月を思わせる、まんまるい顔をしていて、先生の名前はその名も月井先生だった。




けれども一度深く心を傷つけられたわたしには、自分から友達を作る勇気はなかった。


高校の新しいクラスメイトたちは、みんな感じがよさそうだったけれど・・・、


それでもやっぱりもしものことを考えてしまう。



友達になっても、また裏切られるのではないかという不安。


傷つけられるのではないかという怖れ。



わたしはなるべく目立たないようにして、毎日の授業を受けた。


そして授業の合間に、ときどき周りにどんな生徒がいるのか、こっそり眺めてみたりした。