突然ひどい吐き気がして、びっくりして目が覚めた。

口元を押さえながら、慌ててトイレまで這いずる。

(何、これ…?)

吐くものなんか、もう胃の中に残ってないのに、何度も何度も吐いた。

苦しさのあまり、涙が出てくる。

(幸太…幸太は???)

必死でベッドに戻って携帯を開いた。

十一時。

電話をかけてみたけど…つながらない…

『電波の届かない場所におられるか 電源が入っていません』

五回聞いて、あきらめた。

「なんでぇ……?」

なんで、帰って、来ないの?

なんで、電話、通じないの?

目の前に、チカチカと星がいっぱい飛んでいる。

眩暈…貧血?

手足の先が、冷たい。

怖い。怖いよ、幸太……。

早く帰ってきて。幸太。

幸太……!!

「助けて…!」

電話の声が、遠くに聞こえた。

いつものあの声。

また途切れそうな意識の中で、あたしは必死で、言葉を話した。