光の家を出て最寄の駅まであと5分てところで、更にあたしに試練が待っていた。

 いや、試練てほどでもないか。まあ、ついてないって言葉に集約されるだけかもなんだけど。

 突然の、全く突然の、集中豪雨に見舞われたのだ。

 俄かに掻き曇った空を通行人が不安そうに見上げる。風も出てきたな・・・今日雨って言ってたっけな?などと思いながら足を速める。

 ぽつり、と一粒目がダークブラウンのアイブロウで描いた眉毛に落ちてきて、それにイラっとした次の瞬間、ドバーっと、それこそ天の底が抜けた、みたいな雨が、一斉に空から降ってきたのだ。

 あっちゅーま、だった。

 周囲の人々と一緒に、あたしは全身ずぶ濡れになる。

 まわりできゃーとかわあーとか言いながら通勤客が雨避けを求めて右往左往する中、あたしは唖然として固まってしまった。

 ・・・男に振られて、しかも、雨まで?

 この、すっごく天気の良かった10月の朝に、突然?

 やっと我に返って駅の屋根目指して走り出したときには、すでにずぶ濡れ状態だった。髪から滴り落ちる滴にため息しか出ない。

 ここはあたしの部屋の最寄り駅ではない。従って、家に帰るわけにもいかず、とりあえずこのままで出勤となる。