お握りに愛を込めて

「今日、学校で野球部のマネージャーに誘われたんだって?」

「え?なんで?」

知ってるの?


「光太郎から聞いた」

「え?」

「なんか、友達から電話あったんだって」


あっ……もしかして、愁先輩から?


「マネージャーしたら?」


「できないっ」

「なんで?菜子、野球好きでしょ?」

「好きだけど。……けど、家のこと……」

「家のこと抜きで考えてみたら?」


もし、家のことをしなくてもいいってなったら、私はマネージャーをしたい?


答えは、今日、手伝った時点で出ている。


私は、彼らのお手伝いがしたい。



「もう、答え、出てるんでしょ?」


家のことなんにも出来ないお姉ちゃんだけど、人の気持ちには、誰よりも敏感なんだから。



「うん……」

「やりたいこと、やりなさい。今しかできないことでしょ」



そうだね。

今のこの時間は、二度と戻らない。

やろうと思うことをやらなくちゃ。




「家のことは、私がなんとかするから」


それが一番怖いんですけど……