「はい。朝は、ほらっ!スーパーも開いてないし、タイムバーゲンの心配もないし」

「タイムバーゲン?」

「うん、タイムバーゲン……って、ちょっ、今の忘れてくださいっ」

「なんで?」

「なんでもっ!とにかく、明日の朝も作りますから。それだけです。じゃあっ」


墓穴を掘ってしまって、恥ずかしさのあまり、空になったトレーを持って、調理室に戻ろうとしたら、


「菜子ちゃんっ」


大きな声で呼び止められ、思わず振り返ると、


「ありがと」


そう言って、なんとも言えない優しい笑顔を向けた愁先輩。




ドキンッ!


一瞬、心臓が止まったかのように感じた。


その笑顔、反則です。

胸が苦しくなります。