「もう、なんなんですかっ！」

「何が？」

何が？じゃないよ。何が？じゃ……

なんでそんなにしれっとしていられんの？



「はぁ……もう、なんであんな事言うんですか」

「あんな事？」


そうだよ。
あんな事

堂々と大勢の前で「惚れた」なんてあり得ないんだから



あの叫びに、愛とか恋とか、そんなもの一切含まれてないけれど。


あんたが惚れたのは、ただのお握りだって分かってるけど、

でもね、他の人が聞いたら明らかに誤解するでしょ。


「あそこで『惚れた』はないでしょ」

「だって、本当のことだし？」


そうやって、潤んだ瞳で言わないでほしい。


これ、絶対分かっててやってるよね？

こういう仕草したら、女の子、ころっと何でも言うこと聞いてくれるって、分かってるよね？


はぁ。

もう、反論する元気もないや……



「もういいです」

「よくないでしょ？」

「……」


よくないけど？
でも今さら何を言っても無駄じゃない？


「何事も自分が納得できるまでやらないと駄目でしょ？」

「……はい、ごめんなさい」


って、あれ？なんかおかしくない？なんで説教されてんの？

「分かってくれたならいいよ」


って、絶っ対おかしいよね！



はぁ……

なんか疲れた