私の好きな人は野球部のエースで、
彼には好きな人がいる。

彼は学校の先生を好きになり、毎日廊下の窓から渡り廊下を見下ろす。
叶わないとわかっていながら、彼は今日も先生を見ている。


「本当に好きなんだね。」
「ははっ、バレたのお前が初めてだよ」

「色んな人にバレてたらヤバイでしょ」

そうだなって笑うあなたの顔がすごく好きです。

「なんで好きなの?」

あの、渡り廊下を見ていた彼に話しかけた日から私たちはよく二人でいるようになった。
二人でいるって言っても、何をするわけでもなく、一緒に渡り廊下を見ている。
たまに先生がこっちを見る時があって、私は手を振る。
彼は小さく会釈する。

「率直だね。」


あ、先生だ。
なんか、女の子に囲まれてはしゃいでる。


「なんか俺、全然すげくねぇのにエースとか言われてすげぇプレッシャーでさ。まじた野球やめてぇって思ってた時に…」

私から聞いたのになんだか泣きそうになった。

それ以上聞きたくないと思ってしまった。